最高裁判所第一小法廷 昭和23年(れ)671号 判決 1948年10月21日
主文
本件各上告を棄却する。
理由
各被告人辯護人樺島益生同安藤加彦上告趣意第二點について
しかし判示事実のように四月八日頃の午後七時過頃に婆さん(清水モト當五八年)と娘(美佐枝當二六年)だけの住家に成年男子三人も侵入して婆さんの口元を手で押えようとしたらそれは被害者の反抗を抑壓する暴行であると認定しても何等実験則に反するものではない。だから原判決が被告人加藤新谷の両名の犯行を強盗未遂罪に擬したのは正當であって論旨は理由がない。
同第三點について
しかし原審確定の事実によれば被告人加藤及同新谷の両名は執務時間中ではあるが強盗をしようと企てて拳銃を携行したというのであるから銃砲等所持禁止令第一條但書の職務のために所持する場合に該當しない。されば原審が同令を適用して處斷したのは正當であって論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)
よって刑訴第四四六條に從い主文の通り判決する。
この判決は裁判官全員の一致した意見である。
(裁判長裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野毅 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 岩松三郎)